「ごっこ」(ハイブリッド小説)

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    「あたし、もうだめ・・・・・・」
    相田直子(あいだなおこ)は力なく言った。

    「相田さん、気をしっかり持って! 諦めちゃダメだ!」
    水野浩介(みずのこうすけ)は直子に向かって手を伸ばした。

    二人は今、断崖絶壁にいた。



    「水野くん、ごめんね、あたしが急にロッククライミングがしたいなんて言い出さなければ、こんなことにはならなかったんだよね。あたしっていつだってそう・・・・・・例えば小学校の時の学芸会であたしがロミオとジュリエットをやりたいって言ったばっかりに、クラスが崩壊したんだよね。いっつもそう。わたしが何か言い出すと、だいたいろくな結果にならないんだ」

    この状況でよくしゃべるな、と浩介は思ったが口にはしなかった。

    「なんでロミオとジュリエットで、クラスが崩壊するの?」
    「その時はできる気がしたの。でも無理だった・・・・・・だって体が一つしかないんだもん」
    「え? 相田さん、ロミオとジュリエットを両方やろうとしたの?」
    「だって、わたしがロミオをジュリエットをやりたいって提案した時、みんなが賛成したんだもん。あ、できるんだって思っちゃうよねそりゃ」
    「いや、みんなはたぶん、演目としてのロミオとジュリエットに賛成したんじゃないかな?」
    「今考えるとそうなんだけど、その時は自分が目立つことしか考えてなかったから・・・・・・」
    「そっか・・・・・・ところでさ、それって今考えることじゃないよね?」

    浩介はやっと、大事な部分を言えた。

    「そうだね。今考えなきゃいけないのは、なんでダンゴムシを見つけると突きたくなるのかってことだよね」
    「違うよ! 現実逃避しちゃダメだよ! しっかり目の前を見て!」
    「目の前? うん、壁だね。後ろを見ると・・・・・・うん、断崖絶壁だね」
    「あ、そこは冷静に見れるんだ・・・・・・」

    ――続く。


     

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