語呂合わせで覚えるメガマック
先日、公園でベンチに座っていると、3才くらいの女の子が母親の元へ駆け寄る光景を目にしました。
女の子は、母親まで数メートルのところまで近づくと、大きな声で母親を呼びました。
「母上〜!」と。
私は思わず、口に含んだコーヒーを噴き出しそうになり
『こりゃまた、古風な教育方針だな』などと思いながら見ていると、
そこに父親らしき人物が現れました。
ここはやはり「父上」と呼ぶのだろうか、と期待に胸を膨らませていると
「ダディー!」
まさかの斜め上でした。
相変わらず、東京は混沌としていますな。
さて、ラフスケッチ――
職場でのこと。
その人は、ウチの娘のことをいつも気に掛けてくれるのだが、いつまで経っても娘の名前を覚えられない。
話すたびに
「えっと・・・・・・何ちゃんでしたっけ?」
と聞いてくる。
その都度「○○です」と苦笑いするのだが、まぁ確かに、しょせん他人の子ども、名前を覚えるのは大変かもしれない。
しかし今日、ついにその人はとんでもないことを言い出した。
ウチの娘が熱を出したと聞いた、Sは心配そうな顔で近づいてきた。
S「熱、大丈夫なんですか?」
私「え? ああ、娘のことですか。はい、おかげさまですぐに下がりましたから」
S「えっと、何ちゃんでしたっけ? ○○ちゃんか○○ちゃんだったことは覚えているんですけど」
私「どちらも違います・・・・・・○○です」
私はいつものように、そう答えた。
S「ああ、そうでしたね。いっつも勘違いするんですよね。う〜ん、何か良い語呂合わせとかないですかね?」
私はきょとんとした表情で、Sを見つめた。
S「ほら、1192作ろう鎌倉幕府みたいな」
鎌倉幕府は人の名前ではない。さらに言うなら、私の娘は歴史上の人物でもない。
私「いやいや、ないですよ。そんもの」
S「う〜ん、それじゃ特徴とかないですか? 額にでかいホクロがあるとか、かつての千昌夫みたいに」
何故、人の娘をホクロで覚えようとするのか理解できなかった。百歩譲ってそういう覚え方もあるとして
それは言わないで欲しいものだ。いや、それ以前にこの人は、千昌夫をホクロで覚えているのだろうか。
私「ホクロですか・・・・・・ないですね」
S「そうですか・・・・・・じゃあ、目が大きいとかそういうのは?」
私「ま、まぁ目は大きい方だと思いますけど」
S「じゃあ、メガ○○ってので覚えます!」
人の娘をメガマックみたいに言うんじゃないよ。
私「いやいや・・・・・・そんなメガでもないですし」
S「ついでに、誕生日も教えてください。語呂合わせで覚えるんで!」
私は心の中で呟く。いや、もう覚えなくていいよ。と。
私「・・・・・・4月19日です」
S「ほう・・・・・・メガマック単品の値段と一緒ですね419円ですから」
知らんがな。こいつ、ウチの娘をメガマックと勘違いしているのか? いや、それよりもメガマックの値段は覚えられるのに、人の娘の名前は覚えられないとは。
私はうんざりした表情で答えた。
私「そんな無理して覚えなくてもいいですよ」
S「大丈夫です! もう覚えましたから。・・・・・・えっと、メガマックですよね」
完全にメガマック言うてもうたがな!
私「はい、もうそれでいいです」
心の中で娘に謝りながら、そう答えたのは、この無礼でくだらない会話を一刻も早く終わらせたかったからだ。
今日は、娘の好きな『ビスコ』を買って帰ってあげようと、その時の私は考えていた。
――
さて、
私(筆者)に娘がいるのか? はい、いません。完全なる独り身です。
つまり、叙述トリックですね。
そんなたいそうなものでもないですが、視点を真逆にして書いてみました。
つまり、本文中の『S』は私で、『私』が相手です。
相手の心情が、上記のようだったかどうかはわかりませんが、そこはあくまで想像です。
どちらにしても言えることは、私(筆者)が大変失礼だと言うことですね。
女の子は、母親まで数メートルのところまで近づくと、大きな声で母親を呼びました。
「母上〜!」と。
私は思わず、口に含んだコーヒーを噴き出しそうになり
『こりゃまた、古風な教育方針だな』などと思いながら見ていると、
そこに父親らしき人物が現れました。
ここはやはり「父上」と呼ぶのだろうか、と期待に胸を膨らませていると
「ダディー!」
まさかの斜め上でした。
相変わらず、東京は混沌としていますな。
さて、ラフスケッチ――
職場でのこと。
その人は、ウチの娘のことをいつも気に掛けてくれるのだが、いつまで経っても娘の名前を覚えられない。
話すたびに
「えっと・・・・・・何ちゃんでしたっけ?」
と聞いてくる。
その都度「○○です」と苦笑いするのだが、まぁ確かに、しょせん他人の子ども、名前を覚えるのは大変かもしれない。
しかし今日、ついにその人はとんでもないことを言い出した。
ウチの娘が熱を出したと聞いた、Sは心配そうな顔で近づいてきた。
S「熱、大丈夫なんですか?」
私「え? ああ、娘のことですか。はい、おかげさまですぐに下がりましたから」
S「えっと、何ちゃんでしたっけ? ○○ちゃんか○○ちゃんだったことは覚えているんですけど」
私「どちらも違います・・・・・・○○です」
私はいつものように、そう答えた。
S「ああ、そうでしたね。いっつも勘違いするんですよね。う〜ん、何か良い語呂合わせとかないですかね?」
私はきょとんとした表情で、Sを見つめた。
S「ほら、1192作ろう鎌倉幕府みたいな」
鎌倉幕府は人の名前ではない。さらに言うなら、私の娘は歴史上の人物でもない。
私「いやいや、ないですよ。そんもの」
S「う〜ん、それじゃ特徴とかないですか? 額にでかいホクロがあるとか、かつての千昌夫みたいに」
何故、人の娘をホクロで覚えようとするのか理解できなかった。百歩譲ってそういう覚え方もあるとして
それは言わないで欲しいものだ。いや、それ以前にこの人は、千昌夫をホクロで覚えているのだろうか。
私「ホクロですか・・・・・・ないですね」
S「そうですか・・・・・・じゃあ、目が大きいとかそういうのは?」
私「ま、まぁ目は大きい方だと思いますけど」
S「じゃあ、メガ○○ってので覚えます!」
人の娘をメガマックみたいに言うんじゃないよ。
私「いやいや・・・・・・そんなメガでもないですし」
S「ついでに、誕生日も教えてください。語呂合わせで覚えるんで!」
私は心の中で呟く。いや、もう覚えなくていいよ。と。
私「・・・・・・4月19日です」
S「ほう・・・・・・メガマック単品の値段と一緒ですね419円ですから」
知らんがな。こいつ、ウチの娘をメガマックと勘違いしているのか? いや、それよりもメガマックの値段は覚えられるのに、人の娘の名前は覚えられないとは。
私はうんざりした表情で答えた。
私「そんな無理して覚えなくてもいいですよ」
S「大丈夫です! もう覚えましたから。・・・・・・えっと、メガマックですよね」
完全にメガマック言うてもうたがな!
私「はい、もうそれでいいです」
心の中で娘に謝りながら、そう答えたのは、この無礼でくだらない会話を一刻も早く終わらせたかったからだ。
今日は、娘の好きな『ビスコ』を買って帰ってあげようと、その時の私は考えていた。
――
さて、
私(筆者)に娘がいるのか? はい、いません。完全なる独り身です。
つまり、叙述トリックですね。
そんなたいそうなものでもないですが、視点を真逆にして書いてみました。
つまり、本文中の『S』は私で、『私』が相手です。
相手の心情が、上記のようだったかどうかはわかりませんが、そこはあくまで想像です。
どちらにしても言えることは、私(筆者)が大変失礼だと言うことですね。
- 2015.04.17 Friday
- ラフスケッチ
- 01:41
- comments(0)
- -
- by 酒井貴司